雪山の遭難とリスク・マネジメント
先月27日に、雪崩に巻き込まれて高校生ら8人が死亡しました。いたたまれない凄惨な事件で、親族の方には心からお悔やみ申し上げます。 当日のニュースでは、那須で雪崩事故「この時期に…想定外」スキー場関係者ら衝撃 となっていました。しかし、本日のニュースに寄りますと、
- 遭難者の位置を知らせる送受信器「ビーコン」を持っていなかった
- 講習会を主催した県の高校体育連盟は「入林届」を提出していなかった
- この国有林一帯は雪崩危険箇所になっていて、事故の当日も近くで別の雪崩も起きていた。
当初、雪崩は自然の脅威によるもので、季節外れの天災だと思っていましたが、本日のニュースを聞きますと、ズサンな計画であったことに疑問を持ってしまいます。二度とこのような凄惨な事件が発生しないよう、関係者には事件の解明および原因追及をして頂きたく存じます。
この事件を聞いて、似たような惨事の映画「八甲田山」を思い浮かびました。この映画は、八甲田雪中行軍遭難事件で訓練参加者の210名中199名が死亡した、世界最大級の山岳遭難事故を元に制作されました。映画では、北大路欣也さんが演じる神田大尉の青森歩兵第五連隊と、高倉健さんが演じる徳島大尉の弘前歩兵第三十一連隊が同日に雪中行軍します。この両連隊には、計画性や関係者の素行等に明らかな差異があり、雪山での「想定外」をどこまで綿密に計画し、リスク・マネジメントの差分点がよく分かります。リスク・マネジメントでは、
- リスク・マネジメント計画
- リスク特定、リスク分析、リスク対応計画
- リスクコントロール
等のプロセスマップがあり、プロジェクト・マネジメントでは欠かせない要素です。
よく想定外と言いますが、本当にそうでしょうか?
実は予兆や事前に判断できるポイントがいくつもあって、それらを見逃してしまった。その結果、最悪な要素が重なって、悲惨な事件が起きってしまった、ということはないでしょうか? 映画「八甲田山」では、いくつものその場面に出くわします。「想定外」を「想定内」にするため、これらの真因を突き止めて、今後の防止策を施すことが亡くなった方への弔いの一歩になると誓って。
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